抹茶のシャカシャカ&和三盆の手作りで日本文化を体験しよう

観光で香川県を訪れるなら、必ず訪れておきたい場所のひとつとして最初に挙げられるのは「栗林公園」ではないでしょうか。
「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でもわざわざ旅行する価値がある観光地として三つ星を獲得。
国内外問わずたくさんの方が足を運んでいます。

栗林公園といえば園内にある景色はもちろん、その風情を楽しむために各所に茶室が設けられています。
最も人気が高く、栗林公園の顔にもなっているのは掬月亭は、中に入って見学をしたり、ランチを楽しんだりすることも可能。
さらに、香川県ならではの方法で日本の文化を感じられる特別な体験ができるって知っていましたか?

体験内容は、和三盆の型抜き&抹茶のシャカシャカ体験。
しかもこのふたつ、どちらもこだわりにこだわりを重ねたプレミアムな内容となっているんです。

では、具体的にどんなところが特別なのか、何にこだわっているのかなど、具体的に紹介していきます。
他では叶わない、特別なひとときを堪能したい方はぜひ、チェックしてみてください。

和三盆の型抜き体験

和三盆というのは砂糖のことを指しますが、掬月亭で体験できるのは、和三盆を木型にギュッと押し込むことで作られる砂糖菓子の手作り。
香川県産の和三盆の中でも1本のサトウキビからほんの少ししか取れないという、最上級の砂糖だけを用いています。
これを木型に詰め込んで固めることで、ひと口サイズのお菓子が出来上がります。
和三盆体験の手順は下記の通りです。

和三盆を木型に詰める

まずは水分を含ませた和三盆を木型の中に詰め込んでいきます。
細かい模様や型枠の端までしっかりと形が出るよう、ギュッギュッと推しながら詰めていくのがポイント。

表面を平らにする

砂糖をしっかり詰め込んだらヘラを使って表面を平らにならしていきます。
やりすぎて穴が空いてしまった場合はもう一度和三盆をギュギュッと詰め込んでからならします。

型から抜く

最後に型から抜き取れば完成です。
ゆっくり、おそるおそるやるのではなく、ためらわず思い切って抜いた方がキレイできることが多いです。

香川の名産品「和三盆」とは?

和三盆とは、主に香川県や徳島県で生産されている砂糖の一種で、和三盆糖とも呼ばれています。
江戸時代に徳川吉宗によって行われた享保の改革で、それまで南西諸島での製造に限られていた砂糖が全国に広まりました。
高松藩もそのひとつで、五代藩主松平頼恭の命によって砂糖の研究が始まりました。

しかし、インターネットもSNSもない時代。
研究を始めた当初からうまくいっていたわけではありませんでした。
転機が訪れたのは砂糖造りの研究が医師である池田玄丈から弟子の向山周慶に受け継がれた後。
お遍路の途中で病気になり、行き倒れになっていた関良介を助けたことからでした。
彼は偶然にも、奄美大島で砂糖造りをしたことがある人物でした。

命を助けてもらったことに恩を感じた彼は、藩外に持ち出し禁止になっているサトウキビを讃岐地方で育てました。
これが讃岐和三盆の始まりと言われています。
そこから改良を加え、製法が確立された後、製法を藩の中で大切に守られています。
讃岐和三盆は200年以上の歴史を紡ぎ、今も大切に受け継がれています。
それは県外の和菓子にも、わざわざ香川県産の和三盆糖を取り寄せるものもあるほどの人気ぶりとなっています。

和三盆を詰め込む木型に注目

和三盆体験に欠かせない木型。
掬月亭での体験には、四国でたった一人しかいない木型職人、伝統工芸士「市原吉博」さんによって作られた貴重なひと品。
もちろん、機械ではなく1つひとつがすべて手作業で彫られています。
そのため、型を1つひとつ見てみると同じように見えて少しずつ形が異なっていることに気づきます。
出来上がった和三盆の模様もよく見ると少しずつ異なっています。
型枠のデザインは、桔梗、紅葉、あさがおなど、複数用意しています。

理平焼の器にも注目

お茶を楽しむのに欠かせないのがお茶を入れる焼き物の器。
茶器とも呼ばれ、茶道具の中でも欠かすことのできない物のひとつです。
理平焼は香川県高松市で焼かれている陶器。
かつて、初代高松藩主、松平頼重が京都の陶工、森島作兵衛を招いて焼かせたお庭焼がルーツとなっています。
作兵衛が高松に在住した際、理兵衛と改名したため、理兵衛焼と呼ばれるようになりました。
明治時代に入り、現在の理平焼と呼ばれるようになってからも、栗林公園の北門前へ窯場を移転し、現在の14代目に至るまで脈々と受け継がれています。

栗林公園内にあり、名所のひとつにもなっている九重の塔を作った窯元としても知られています。
今回のシャカシャカ体験では、この理平焼の器を採用。
高松を代表する焼き物で作られた器を使って、本格的な日本の文化体験が叶います。

出来立てがいちばんおいしい

和三盆のお菓子を食べたことがある方なら砂糖菓子がカリッとした食感をイメージしているはず。
実はこれ、理由がふたつあります。
ひとつは和三盆の品質の問題。高級なものほどふわっとした食感が強くなります。
もうひとつは含まれている水分量。型から抜いてそのまま放置すると水分が抜けていくため少しずつ固くなっていきます。

つまり、高品質な和三盆を使ったお菓子の出来立ては全く別モノかと思えるくらいふわふわです。
そして、口に入れるとそのままほろりと崩れるようになくなります。
当然、作ったものを持ち帰って味わおうとしても、時間と共に水分が抜けてどんどん固くなってしまうので、同じにはなりません。
だから、掬月亭で作った出来立てでしか味わえない特別な食感の和三盆が味わえるプレミアムな体験となります。

「抹茶シャカシャカ体験」とは?

和三盆の型抜きと一緒に体験できるのは抹茶のシャカシャカ体験。
抹茶は他のお茶と違い、粉末状の茶葉が使用されています。
最も特徴的なのは、粉末状の茶葉を入れ、お湯を注いだ後、茶筅という道具を使ってかきまぜること。

茶道をやったことがない方でも、自分で一度やってみたいと思った方はいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、抹茶を自分でシャカシャカまぜることができます。

抹茶を泡立てる理由

「そもそも抹茶はなんで泡立てるの?」
と思われている方も多いはず。
実は、抹茶は泡立てるほど口当たりがマイルドになり、飲みやすくなります。
一方、泡立てていない抹茶は本来持っている風味を感じることができます。

どちらの方が良いという正解はなく、お茶の流派でも考え方は異なります。
例えば、表千家では泡のない部分があることが望ましい。武者小路千家では泡が三日月のように残ることが望ましいとされています。
反対に、裏千家ではふんわりときめ細やかな泡が立っていることが望ましいとされています。

和三盆との絶妙なコラボを楽しもう

抹茶と和三盆の相性は抜群で、ふんわりと口の中で溶ける和三盆の甘みが抹茶と合わさり最高の味わいになります。
マイルドな味が好きな方はしっかりと泡立てて、抹茶本来の味が好きという方はあまり泡立てずに飲んでいただくのがおすすめです。
茶道にはいろいろな決まりがありますが、体験では抹茶をおいしく楽しく味わっていただくことをメインに考えているため、ご自身のお好みで自由に体験していただけます。

掬月亭を見学しよう

掬月亭は、栗林公園のシンボルとしても知られる数寄屋楓書院造の建物。
歴代藩主がこよなく愛し、大切なお客様をお招きするのにも使われていたと言われています。
そんな掬月亭には、さまざまな工夫がこらされており、見どころもたくさん。
何気ない壁や天井には壁紙ではなく越前和紙が使用されていたり、南湖に面した部屋の床の間の畳縁に徳川家の葵の紋が刻まれていたり、一室一室にさまざまな工夫が凝らされています。
和三盆体験をした後はそのまま掬月亭の見学が可能。
歴代藩主が愛したと言われる素敵な空間をぜひ、チェックしてみましょう。

特別名勝栗林公園のシンボル「掬月亭」を10倍楽しめる亭内のこだわりポイントの記事でも魅力を紹介しているので、合わせてチェックしてみてください。