栗林公園の茶会。建物の雰囲気や初めての参加におすすめの大寄せについて

栗林公園では、季節に応じてさまざまなイベントが開催されています。
四季折々の彩りに合わせたお祭りや桜・紅葉シーズンのライトアップなど、どれも話題性の多いものばかりですが、それ以外にも定期的に開催されているイベントが「お茶会」です。

日本で古くから伝わる「茶の湯」。
そこで執り行われている茶会とは、具体的にはどのようなものなのか、栗林公園で開かれる茶会の魅力なども合わせてご紹介します。
参加に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

現代の茶会の種類は大寄せ茶会と茶事のふたつが主流

茶の湯における茶会には、茶事と大寄せ茶会のふたつがあります。
亭主が少人数のお客様をおもてなしする正式な茶会のことは茶事(ちゃじ)と呼ばれていて、炭点前をし、懐石料理をさしあげて、その後濃茶、薄茶を点ててお客様をおもてなしします。
一方、大寄せ茶会は大勢のお客様を一同に招き、お菓子と薄茶(または濃茶)でおもてなしします。

初めてのお茶席は大寄せ茶会がおすすめ

茶の湯はもともとお客様をおもてなしするために生まれたものですが、一定のルールが存在します。
そのため、まったく何の知識もなく、とりあえず参加できるものではありません。
しかし、知識がなくても参加できる茶会が大寄せ茶会です。

もし、茶道のお稽古などに参加されていて、お茶会に興味をお持ちの方は、まずは大寄せから参加されることをおすすめします。
栗林公園でも、新型コロナウイルスの感染拡大以前は、掬月亭の大広間にて、大人数を集めた大寄せ茶会が定期的に開催されていました。
状況が落ち着いて来れば、今後も開催される可能性が高いので、興味のある方はぜひご参加ください。

茶事は正式な茶会

茶事とは、懐石をいただいたり、お茶を飲んだりしながら少人数で約4時間を過ごす、おもてなしのフルコース。
一般的に、茶会は略式、茶事は正式な茶会として考えられることが多いです。

栗林公園での茶事は日暮亭で行われることが多く、木々に囲まれたひっそりとしたスペースで、特別なひとときをお過ごしいただけます。

茶事の流れ(炉の場合の一例)

茶道には流派がある

茶道は、千利休を始祖として発展した「表千家」「裏千家」「武者小路千家」の流派が最も多く、「三千家」と呼ばれています。
三千家以外にも多くの流派が存在しており(香川県では石州流や江戸千家流など)、それぞれの流派によって作法や進行、呼び方も少しずつ異なります。

同じ千利休を始祖とする三千家でも、流派が異なると進め方や呼び方などが異なるため、お稽古や茶会への参加は、自分の習っている流派のものだけにしておく方も少なくありませんが、機会があれば他流儀の茶会に参加するのも楽しいものです。
茶のいただき方などは、習っている流儀でいただいても失礼には当たりません。

栗林公園の茶会の魅力

茶会は一般的に茶室を使って行われます。
掬月亭は江戸時代は大茶屋とも呼ばれていて大きく広い建築です。藩主がお茶を楽しむための建物でした。
自然あふれる栗林公園内の茶屋だけあって、前の池を海と見立てた開放感のある空間が魅力。
四季折々の景色を楽しみながら茶会ができるのは栗林公園ならではなので、目の肥えた方々からも人気があります。

栗林公園の中でも高い木々が並ぶ森林の中にひっそりと佇む日暮亭は、掬月亭とはひと味違った小間の隠れ家的雰囲気の茶屋です。

江戸時代初期に建てられた大茶屋「掬月亭」

掬月亭は、江戸時代初期に建てられた数寄屋造りの建物。
茶の湯では、お客様は庭から茶室に入っていただくので、玄関を設けない造りになっていたり、床が低く、夏の暑さのことを考え壁の少ない構造が夏の風通しを良くし、お客様を涼しい空間でおもてなしできる工夫が施されています。

高松藩の歴代藩主からは「大茶屋」と呼ばれており、開放的な空間でお茶を楽しむことも目的のひとつであったと考えられています。

江戸時代初期から現存する貴重な茶室「旧日暮亭」と明治期の「日暮亭」

日暮亭は、明治31年に建てられた茅葺草庵型の茶室です。
明治時代に入り、旧藩士が元藩主から旧日暮亭を譲り受け、茶室がなくなりました。そこで、日暮亭が建てられました。

旧日暮亭は、森林から木漏れ日が降り注ぐ紫雲山東に佇み、元は考繁亭(こうはんてい)と呼ばれる2代目藩主・松平頼常公の頃に建てられた茶室です。武者小路千家の家元好みを保っている建物とされていて、往時のまま現存する貴重な建物のひとつです。

栗林公園の茶会は他にはない特別なひとときを堪能できる

南湖に迫り出すような造りが特徴的な掬月亭や、季節の彩りを感じながら「侘び」の風情に触れられる日暮亭。
どちらの空間も、他ではなかなか体験することのできない特別な空間での茶会となることは間違いありません。
少しずつ、茶会の開催もされるようになってきているので、名茶屋と呼ばれる一室で、ぜひ特別なひとときをお過ごしください。